短いですが昨日の続きです。
言い訳はssのあとで
言い訳はssのあとで
良守の家の蔵には烏森についての蔵書が山ほどある。
それは正統継承者である良守にのみ閲覧を許されているものも多く、良守は時音の葬式のあと蔵に篭って蔵書を漁った。
しかし、まず文字を認識するまでに時間がかかった。
中学生である良守には草書体も古語もまだ馴染みがなかったのだ。
そうして蔵の中の半分ほどに目を通した頃、その中に洋書を一冊見つけた。
それが、マサモリの、悪魔の召喚書だった。
時音が亡くなって、一年が経とうとしていた頃だった。
contract2
その洋書を一目見ただけで、良守には禍々しさを肌で感じた。
それが何か大きな力を持った本だと本能で理解できたのだ。
内容は英語のようで、新たに英和辞典を蔵に持ち込んでそれが何かを必死に解読した。
その結果、それは悪魔の召喚をするための儀式を記したものだとわかった。
それも、とても力のある悪魔の召喚書。
日本の妖にすら詳しくない良守だが、西洋の悪魔を喚び出すのに犠牲が必要なことくらいは知っていた。
よく聞くのは魂を捧げるというもので、まさにその召喚書にはそう記されてある。
また、召喚者が悪魔に与える犠牲が大きいほど、悪魔に対しての命令が絶対となる。
つまり、血の一滴よりも、魂の一部。魂の一部よりも、すべての魂を捧げるほうがより忠実な悪魔が得られるのだ。
なぜ一冊だけこの洋書が蔵に紛れていたのか良守にはわからなかったが、そんなことはどうでもよかった。
それよりも人の魂を喰らう悪魔ならば、あの土地神をどうにかできるのではと考えに至ったとき震えが走った。
やっと一筋の光が見えたのだ。
たとえそれが、自らの魂を捧げなければいけないとわかっても。
喚び出すのは簡単だった。
ただ描いた陣の上に血を落とし、悪魔の本当の名を呼ぶだけ。
悪魔の名を呼ぶことは、その悪魔を縛り付けるらしい。
そして、新たな名前をつけることで、その悪魔を支配する。
そこは日本で言う言霊や真名と似てるのか、と良守は思った。
現れた悪魔はたいそう機嫌がよく、良守を一目見て気にいったらしい。
あとで良守が聞いてみたところ、「魂が上質」だとか。
そしてその姿はなぜか、良守の見知った姿だった。
とても良守にとっては不愉快な、兄の姿。
どうやら悪魔が人間に似た姿を作る場合、悪魔自身の記憶から作り出す場合と、召喚者、または契約者の記憶を辿り作り出す場合があるらしく、その悪魔は良守の記憶の中から気に入った姿を選び出した結果、良守の兄、正守と瓜二つになってしまったのだ。
始めは嫌がった良守だが、兄の姿をしたものに命令できるのもまあいいかと思い、それならばと名前も同じに決めた。
差し出した良守の右手にマサモリが口づけ、契約の印をつけようとするが、左手にある烏森の結界師としての正統継承者の印である方印が強くひかり、それを弾いてしまった。
しかし、マサモリという名は悪魔の新たな名として既に吸収されてしまっていた。
自分を呼び出した人間が、まさか既に他と契約しているなどと思わなかった悪魔は憤慨したが、良守がその契約している相手である烏森を消すために呼んだのだと説明すると、「烏森を消した後に再び自分と契約しなおすこと」を条件に良守に傅いたのだった。
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というわけで、マサモリは正守ではありません。
正守もちゃんといます。
マサ良か正良かはわかりませいい(オイ)
それは正統継承者である良守にのみ閲覧を許されているものも多く、良守は時音の葬式のあと蔵に篭って蔵書を漁った。
しかし、まず文字を認識するまでに時間がかかった。
中学生である良守には草書体も古語もまだ馴染みがなかったのだ。
そうして蔵の中の半分ほどに目を通した頃、その中に洋書を一冊見つけた。
それが、マサモリの、悪魔の召喚書だった。
時音が亡くなって、一年が経とうとしていた頃だった。
contract2
その洋書を一目見ただけで、良守には禍々しさを肌で感じた。
それが何か大きな力を持った本だと本能で理解できたのだ。
内容は英語のようで、新たに英和辞典を蔵に持ち込んでそれが何かを必死に解読した。
その結果、それは悪魔の召喚をするための儀式を記したものだとわかった。
それも、とても力のある悪魔の召喚書。
日本の妖にすら詳しくない良守だが、西洋の悪魔を喚び出すのに犠牲が必要なことくらいは知っていた。
よく聞くのは魂を捧げるというもので、まさにその召喚書にはそう記されてある。
また、召喚者が悪魔に与える犠牲が大きいほど、悪魔に対しての命令が絶対となる。
つまり、血の一滴よりも、魂の一部。魂の一部よりも、すべての魂を捧げるほうがより忠実な悪魔が得られるのだ。
なぜ一冊だけこの洋書が蔵に紛れていたのか良守にはわからなかったが、そんなことはどうでもよかった。
それよりも人の魂を喰らう悪魔ならば、あの土地神をどうにかできるのではと考えに至ったとき震えが走った。
やっと一筋の光が見えたのだ。
たとえそれが、自らの魂を捧げなければいけないとわかっても。
喚び出すのは簡単だった。
ただ描いた陣の上に血を落とし、悪魔の本当の名を呼ぶだけ。
悪魔の名を呼ぶことは、その悪魔を縛り付けるらしい。
そして、新たな名前をつけることで、その悪魔を支配する。
そこは日本で言う言霊や真名と似てるのか、と良守は思った。
現れた悪魔はたいそう機嫌がよく、良守を一目見て気にいったらしい。
あとで良守が聞いてみたところ、「魂が上質」だとか。
そしてその姿はなぜか、良守の見知った姿だった。
とても良守にとっては不愉快な、兄の姿。
どうやら悪魔が人間に似た姿を作る場合、悪魔自身の記憶から作り出す場合と、召喚者、または契約者の記憶を辿り作り出す場合があるらしく、その悪魔は良守の記憶の中から気に入った姿を選び出した結果、良守の兄、正守と瓜二つになってしまったのだ。
始めは嫌がった良守だが、兄の姿をしたものに命令できるのもまあいいかと思い、それならばと名前も同じに決めた。
差し出した良守の右手にマサモリが口づけ、契約の印をつけようとするが、左手にある烏森の結界師としての正統継承者の印である方印が強くひかり、それを弾いてしまった。
しかし、マサモリという名は悪魔の新たな名として既に吸収されてしまっていた。
自分を呼び出した人間が、まさか既に他と契約しているなどと思わなかった悪魔は憤慨したが、良守がその契約している相手である烏森を消すために呼んだのだと説明すると、「烏森を消した後に再び自分と契約しなおすこと」を条件に良守に傅いたのだった。
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というわけで、マサモリは正守ではありません。
正守もちゃんといます。
マサ良か正良かはわかりませいい(オイ)
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