風邪を引いていて鬱なかんじで鬱なss。
神様の戯1
「よしもり」
兄貴が、俺を呼ぶ。
静寂が支配するこの世界で聞こえるのは互いの音だけ。
記憶の中の音ならどんなものだって再現はできるのだけれど、兄貴と俺はそれを止めた。
偽物だからだ。
この世界では、お互いの発する音のみが本物だった。
「お腹すいたよ」
「なに食べたいの」
「そうだなあ。甘いもの」
「それだけじゃわかんねえよ」
くすり、と兄貴が笑い、俺も笑う。
お互い以外がすべて偽物のこの世界。
食べることすらも偽物だ。
だって、俺たちは生きているかどうかもわからない。
ホントは食べなくてもここに存在できるのかも知れないし、なにをホントは食べてるのか全くわからなかったけれど、偽物だとしても食べることが好きな俺と兄貴は食事だけは抜かないように心がけていた。
するり、と抱き寄せられて兄貴に抱きつく。
寒くも暑くもないこの世界で、温かい兄貴が心地良い。きっと兄貴もそうなのだろう。
この世界に来てどれだけ経ったのだろうか。
この世界は。
烏森の意識のなか。
つまり、神様のなか。
烏森を封印しようとしたとき、閉じかけた世界に引きずり込まれそうになった。
俺は、それならそれでいいかと思った。
だって、俺がいたら、たとえ方印が意味のないものになっても兄貴は家には帰ってこないだろう。
だから、それでいいと思えた。
けれど兄貴は俺を追って、烏森の中に一緒に引きずり込まれた。
闇の中でなぜ、こんなことをしたのだと怒ると、逆に怒った顔で。
「お前が!いない世界なんてなんの意味があると思ってるんだ!」
と言われた。
その言葉が嘘かホントかなんて聞かなくてもわかる。
だって、わざわざ神様の中に入ってきたんだから。
最初は出て行こうとした。
烏森が眠りにつけば、人は排除されるかも知れないとウロ様のことを思い出して伝えた。
すると、次第に俺たちの周りが闇から普段の外の世界と同じように変化してきた。
最初にできたのは俺たちの家だった。
次に隣の家が見えた。けれど、中には入れなかった。
それから道が見えた。烏森までの道はなんとかあった。
けれど、それ以上は闇の先で。
兄貴は、もしかしたら烏森が意図的に俺たちを生かしているのかも知れないと言った。
意図的に、二人だけの世界ができあがったのだとしたら、烏森は俺たちを帰すつもりがないということだろう。
神様の空間からの排除は絶対的で、世界を閉じれば存在は消滅されるし、人の世界に追い出すのに逆らうことはできない。けれど排除以外には招き入れてもらう、もしくは無理矢理入り込むことしか経験がなかった俺は、「出られない」ということに対しての対処法を知らなかったし、兄貴は一度だけ閉ざされた神の空間からはい出てきたけれど、意図的ではなかったみたいで、きっかけがない以上どうしたらいいのかわからないと言われた。
世界のほころびを探そうと黒姫を出そうとしても、黒姫はこの世界では存在できないらしく出てこなかった。
空間を壊すことも考えたが、その中に自分たちが居る以上壊したあと自分たちがどうなるがわからない。
いくら烏森を呼んでも反応はないし、絶界もむなしく世界に存在するだけで世界を少しも壊すことはできなかった。
ジジィやババアがした、道を造って外と中をつなぐのも兄貴が何度か試したが失敗した。
見よう見まねで俺も試したが、作られた世界より外に向けて力を発すると力が霧散した。
そして、兄貴は言った。
「ま、いっか」
驚いた俺に、兄貴はさらに。
「俺は元々烏森からお前を解放することが人生の目標だったんだ。それはここにいる以上は叶わないけどさ。お前と二人なら悪くないかもしれない」
他に何もなくても。誰もいなくても。
そう言われると、俺もそれはそれでいいのかもしれないと思った。
もともと、一人で引きずり込まれる気だった。
一人でこんな世界でいるのは嫌だけど、兄貴がいるのなら。
「いっか」
「だろ?」
「うん」
そうして二人の世界での二人の生活は始まった。
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つづくのかな…つづいちゃったのかも><
排他的な二人…。
「よしもり」
兄貴が、俺を呼ぶ。
静寂が支配するこの世界で聞こえるのは互いの音だけ。
記憶の中の音ならどんなものだって再現はできるのだけれど、兄貴と俺はそれを止めた。
偽物だからだ。
この世界では、お互いの発する音のみが本物だった。
「お腹すいたよ」
「なに食べたいの」
「そうだなあ。甘いもの」
「それだけじゃわかんねえよ」
くすり、と兄貴が笑い、俺も笑う。
お互い以外がすべて偽物のこの世界。
食べることすらも偽物だ。
だって、俺たちは生きているかどうかもわからない。
ホントは食べなくてもここに存在できるのかも知れないし、なにをホントは食べてるのか全くわからなかったけれど、偽物だとしても食べることが好きな俺と兄貴は食事だけは抜かないように心がけていた。
するり、と抱き寄せられて兄貴に抱きつく。
寒くも暑くもないこの世界で、温かい兄貴が心地良い。きっと兄貴もそうなのだろう。
この世界に来てどれだけ経ったのだろうか。
この世界は。
烏森の意識のなか。
つまり、神様のなか。
烏森を封印しようとしたとき、閉じかけた世界に引きずり込まれそうになった。
俺は、それならそれでいいかと思った。
だって、俺がいたら、たとえ方印が意味のないものになっても兄貴は家には帰ってこないだろう。
だから、それでいいと思えた。
けれど兄貴は俺を追って、烏森の中に一緒に引きずり込まれた。
闇の中でなぜ、こんなことをしたのだと怒ると、逆に怒った顔で。
「お前が!いない世界なんてなんの意味があると思ってるんだ!」
と言われた。
その言葉が嘘かホントかなんて聞かなくてもわかる。
だって、わざわざ神様の中に入ってきたんだから。
最初は出て行こうとした。
烏森が眠りにつけば、人は排除されるかも知れないとウロ様のことを思い出して伝えた。
すると、次第に俺たちの周りが闇から普段の外の世界と同じように変化してきた。
最初にできたのは俺たちの家だった。
次に隣の家が見えた。けれど、中には入れなかった。
それから道が見えた。烏森までの道はなんとかあった。
けれど、それ以上は闇の先で。
兄貴は、もしかしたら烏森が意図的に俺たちを生かしているのかも知れないと言った。
意図的に、二人だけの世界ができあがったのだとしたら、烏森は俺たちを帰すつもりがないということだろう。
神様の空間からの排除は絶対的で、世界を閉じれば存在は消滅されるし、人の世界に追い出すのに逆らうことはできない。けれど排除以外には招き入れてもらう、もしくは無理矢理入り込むことしか経験がなかった俺は、「出られない」ということに対しての対処法を知らなかったし、兄貴は一度だけ閉ざされた神の空間からはい出てきたけれど、意図的ではなかったみたいで、きっかけがない以上どうしたらいいのかわからないと言われた。
世界のほころびを探そうと黒姫を出そうとしても、黒姫はこの世界では存在できないらしく出てこなかった。
空間を壊すことも考えたが、その中に自分たちが居る以上壊したあと自分たちがどうなるがわからない。
いくら烏森を呼んでも反応はないし、絶界もむなしく世界に存在するだけで世界を少しも壊すことはできなかった。
ジジィやババアがした、道を造って外と中をつなぐのも兄貴が何度か試したが失敗した。
見よう見まねで俺も試したが、作られた世界より外に向けて力を発すると力が霧散した。
そして、兄貴は言った。
「ま、いっか」
驚いた俺に、兄貴はさらに。
「俺は元々烏森からお前を解放することが人生の目標だったんだ。それはここにいる以上は叶わないけどさ。お前と二人なら悪くないかもしれない」
他に何もなくても。誰もいなくても。
そう言われると、俺もそれはそれでいいのかもしれないと思った。
もともと、一人で引きずり込まれる気だった。
一人でこんな世界でいるのは嫌だけど、兄貴がいるのなら。
「いっか」
「だろ?」
「うん」
そうして二人の世界での二人の生活は始まった。
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つづくのかな…つづいちゃったのかも><
排他的な二人…。
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